JIS L 0217 103法の話



ニット生地には、洗濯をすると縮むと言う性質があります。

コレは数値の大小はあってもほとんどすべてのニット生地が持っている性質です。

アパレルメーカーでは、この「生地の洗濯縮率」をかんがみて型紙を起こして製品化します。
そこで、アパレル向けの生地を卸してくれるメーカーさんでは、
JIS規格に則った検査をして
「この生地の洗濯縮率はこうですよ。染色堅牢性はこの程度ですよ。ピリング(毛玉)はこの程度ですよ。
」と検査結果を知らせてくれます。

この洗濯検査の名前が
JIS L 0217 103法です。

内容は
1. JISの定める試験装置の水槽の一番上の水位まで40℃の水を張り
2. 水1?に対して2gの割合で衣料用合成洗剤を溶かし
3. 生地1:水30の割合にして
4. 5分間強水流で洗濯、脱水、2分間すすぎ、脱水、2分間すすぎ、脱水
5. その後吊り干しまたは平干しをする

要するに、一般家庭のお洗濯とほぼ同じ条件で洗濯をしてみるというものです。

ただ、全く同じ条件で試験しないと、その結果の信頼性があやしモノになるので、
厳重に条件を決めて試験して、
その結果を「信頼性のあるもの」として公表するものなのです。

コレを基にして型紙を作ると、
水通しをしないままで裁断、縫製をしても、
洗濯後の姿が、メーカーの意図している形であるようにすることが出来ます。

だから、市販品は水通しせずに裁断縫製してあっても、
洗濯したら著しく型崩れして着用できない、なんてことが少ないのですね。


ちなみに、このJISで定める洗濯試験は、
何度も繰り返して行うと言う設定にはなっていないので
洗濯縮率がなかなか落ち着かない生地に対しては絶対的に信頼しても良いとは限りません。

バスクタイプの生地のように
洗濯するたびにいつまでも縮み続ける生地もあって、
それにはあまりデータばかりを信用しすぎるのもちょっと・・・と言うことですね。